契約と極度額
自分に何かあったら、施設にいる夫(妻)はどうなる?|保証人が欠けたときの手続き
更新日 2026年10月26日
連帯保証人を家族に頼めないときは1分チェック(無料・匿名)→
結論
保証人(身元引受人・連帯保証人)になっている方が入院したり亡くなったりすると、施設の契約では、新しい保証人を立てるよう求められることがあります。 個人の連帯保証人は、保証人が亡くなると、それ以降に発生する利用料を保証しなくなるためです(民法465条の4)。元気なうちに「自分の代わりに誰が何を担うか」を決めておくと、残された家族が慌てずに済みます。
こんな相談がよくあります
- 「夫が施設に入っていて、私が保証人。私が先に亡くなったら、夫はどうなるのか」
- 「保証人の自分が入院することになった。施設に何か伝えないといけないのか」
- 「子どもはいるが、保証人を代わってもらえるか分からない」
配偶者の保証人は、同じように年を重ねています。「自分に何かあったら」と気にかかるのは、自然なことです。
契約では、どう決められていることが多いか
施設の契約書や重要事項説明書には、保証人について次のような書き方がよく見られます。
- 「速やかに新たな連帯保証人等を選定し、当ホームに通知します」
- 「入居者と連帯して債務を負う」
- 「相当の理由なく身元引受人を定められないとき」を、契約の解除の理由の1つとする
最後の書き方は「相当の理由がある場合は別」という意味で、すぐに退去になるとは限りません。ただ、扱いは施設ごとに違うので、契約書で確かめておくと安心です。
当社が根拠を確認できた施設1,428件(2026年10月26日時点、大阪府・東京都。地域全体の割合ではありません)のうち、781件は身元引受人が利用料の連帯保証も負う形でした。この形だと、保証人が欠けると、お金の役割とお金以外の役割が同時に空いてしまいます。
法律では、どうなっているか
個人が利用料の連帯保証人になる契約は、これから発生する利用料も含めて保証する「根保証」になるのが一般的です。
- 保証する上限額(極度額)を書面で決めなければ、保証の契約は効力を生じません(民法465条の2)
- 保証人が亡くなったときは、その時点で保証する元本が確定します(民法465条の4)。それ以降に発生する利用料は、保証の対象になりません
つまり、保証人が亡くなったあとの利用料については、施設から見ると保証のない状態になります。施設が新しい保証人を求めるのは、このためです。亡くなる前に発生していた分の扱いなど、個別のことは契約の内容によるため、必要に応じて専門家にご相談ください。
自分が保証している上限額がいくらかは、極度額チェックで契約書の見方を確かめられます。
保証人が欠けたときにやること
- 施設に連絡する:入院したとき、亡くなったときは、施設に伝えます。緊急連絡先も変える必要があります
- 契約書を確かめる:「保証人が欠けたとき」に何を、いつまでに求められるかを見る
- 代わりの担い手を考える:子どもや親族、お金の役割なら保証会社、お金以外の役割なら身元保証の事業者や成年後見の制度
- 施設と相談する:すぐに立てられないときは、事情を伝えて相談する。「いない場合は相談」としている施設もあります
亡くなったのではなく、入院したとき
保証人の方が入院した場合、保証人であることは変わりません。ただ、入院中は施設からの連絡に出られなかったり、駆けつけられなかったりします。
- 入院したことと、入院中の連絡先(代わりに連絡を受ける家族など)を施設に伝える
- 入院中に施設から求められそうなこと(夫や妻の通院の付き添い、入院の手続き、費用の支払い)を、誰が代わるか決めておく
- 退院のめどが立たないときは、保証人を代わってもらうか、施設と相談する
保証人が長く役割を果たせない状態が続くと、施設から新しい保証人を求められることがあります。早めに施設に事情を伝えておくと、話し合いがしやすくなります。
施設に確かめておきたいこと
今のうちに、施設に次のことを聞いておくと、いざというときに家族が迷いません。
- 保証人が欠けたとき、新しい保証人はいつまでに必要か
- 新しい保証人を立てられないとき、どう扱うか(相談に応じるか)
- 連帯保証人の代わりに、保証会社を使えるか。入居中から切り替えられるか
- 緊急連絡先を何人まで登録できるか
子どもや親族が代わりになるとき
子どもや親族が新しく保証人になるときは、その人が自分で施設と契約(保証の契約)を結ぶことになります。引き受ける前に、次のことを一緒に確かめておくと安心です。
- 連帯保証人の上限額(極度額)はいくらか。上限額は書面で決めることになっています(民法465条の2)
- お金の役割と、お金以外の役割の、どちらを引き受けるのか
- 遠方に住んでいる場合、緊急時の駆けつけを誰が担うか
引き受けることに迷いがあるときは、子ども向けの連帯保証人を引き受ける前に確かめることもご覧ください。お金の役割だけを保証会社に任せる方法もあります。
家族に残しておくメモ
自分に何かあったときのために、次のことを紙に書いて、家族が分かる場所に置いておくと安心です。
- 施設の名前と連絡先、担当者の名前
- 契約書・重要事項説明書の保管場所
- 自分が担っている役割(連帯保証人・身元引受人・緊急連絡先)
- 代わりをお願いしたい人と、その人に話してあるかどうか
- 毎月の利用料の支払い方法(引き落としの口座など)
元気なうちに決めておきたいこと
- 役割ごとの代わりの人:緊急時の連絡は誰、お金の役割は誰(または保証会社)、亡くなった後のことは誰
- 任意後見:判断力があるうちに、将来お金の管理や契約を任せる人を公正証書で決めておく制度です。判断力が衰えたあと、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだときから効力が生じます
- 身元保証・死後事務の事業者:国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(2024年)に、契約の前に確かめたい点がまとまっています
- 家族への共有:契約書の保管場所と、施設の連絡先を家族に伝えておく
7つの役割チェックを使うと、どの役割が空きそうかと、その埋め方を確かめられます。
エル保証でできること・できないこと
エル保証が引き受けるのは、利用料の支払い(お金)だけです。保証人の代わりにエル保証を使えるかは、施設の判断と当社の審査によります。入居中に保証人を立て直すときに使えるかも、当社が施設に確認します。
緊急時の連絡、入院の手続き、亡くなった後の手続きは、エル保証の対象外です。お金以外の役割は、家族や制度、身元保証の事業者と分担する方法を一緒に考えます。入居の判断は施設が行います。
次に読む・使う
- 夫(妻)は老人ホームの保証人になれる?
- 極度額とは
- 保証人の5年後:保証人が5年・10年のうちに亡くなる確率の目安
- 希望の施設への確認(無料)
よくある質問
Q. 保証人の私が亡くなったら、夫(妻)は施設を出なければなりませんか?
すぐに出なければならないとは限りません。ただ、施設の契約では、保証人が欠けたときに新しい保証人を立てるよう求められることがあります。立てられないときの扱いは施設ごとに違うので、契約書と重要事項説明書で確かめておきましょう。
Q. 保証人が亡くなったあとの利用料は、誰が保証するのですか?
個人の連帯保証人(根保証)は、保証人が亡くなるとその時点で保証する元本が確定し、それ以降に発生する利用料は保証の対象になりません(民法465条の4)。そのため、施設は新しい保証人や保証会社を求めることがあります。
根拠をくわしく(運営会社のコラム)
法律・国の通知・統計の根拠と、専門職の方向けの実務は、運営会社(株式会社LAST SOLUTIONS)のコラムで解説しています。
出典
この記事を書いた人
羽田 圭佑(株式会社LAST SOLUTIONS 代表取締役)
損害保険会社で支払査定・引受審査に従事したのち、株式会社LAST SOLUTIONS を設立。介護施設の利用料の保証(エル保証)を運営。
最終更新日 2026年10月26日
エル保証が引き受けるのは利用料の支払い(お金)だけです。緊急時の連絡・入院・亡くなった後の手続きは対象外です。