おひとりさまが元気なうちに準備すること|身元保証人がいなくても施設に入るために
公開日 2026年10月20日/更新日 2026年10月21日
結論
おひとりの方が元気なうちにできる準備は、大きく5つです。望む医療やケアを書き残すこと、任意後見、死後事務委任契約、身元保証会社の検討、資金の見通しです。 施設が身元保証人に求める役割を前もって埋めておくと、いざというときの施設の相談が進みやすくなります。
なぜ、元気なうちに準備するの?
施設や病院が身元保証人に求める役割は、大きく7つあります。
| 役割 | 元気なうちにできる備え | |
|---|---|---|
| R1 | 利用料の支払い(連帯保証) | 資金の見通し、保証の仕組み |
| R2 | 緊急時の連絡と駆けつけ | 知人への依頼、身元保証会社 |
| R3 | お金の管理と手続き(判断能力が落ちたとき) | 任意後見 |
| R4 | 入院・退院の手続きと付き添い | 身元保証会社、任意後見(手続きのみ) |
| R5 | 医療やケアの方針 | 人生会議、事前指示書 |
| R6 | 身柄の引き取り・葬儀・納骨 | 死後事務委任契約 |
| R7 | 荷物の整理・退去・各種の解約 | 死後事務委任契約 |
このうち多くは、ご本人が自分で判断できるうちにしか結べない契約や、書き残しで備えるものです。体調を崩してからでは、選べる方法が少なくなります。
なお、厚生労働省は、身元保証人がいないことは介護保険施設が入所を断る「正当な理由」に当たらないと通知しています。準備は「入るための条件」というより、施設と安心して話し合うための材料です。
望む医療やケアは、どう残せばいい?(R5)
「人生会議」から始めましょう。
厚生労働省は、人生会議を「もしものときのために、望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組」と説明しています。ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称です。
おひとりの方は、話し合う相手として、かかりつけ医・ケアマネ・信頼できる知人などが考えられます。話し合った内容は、事前指示書(望む医療やケアを書いたメモ)として残しておくと、伝わりやすくなります。
- 延命のための治療について、どう考えるか
- 最期を過ごしたい場所の希望
- 自分で決められなくなったとき、意見を聞いてほしい人
- 書いたものの置き場所と、知らせておく人
考えは変わってもかまいません。人生会議は「繰り返し」話し合うことが前提です。
判断が難しくなったときに備えるには?(R3・R4)
任意後見という制度があります。
法務省の説明では、任意後見は、ご本人に十分な判断能力があるうちに、任せる人(任意後見人)と任せる事務の内容を、公正証書の契約で決めておく制度です。
ポイントは次のとおりです。
- 契約は、公証役場で公正証書にして結びます。
- 契約の効力は、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選んだときから生じます。
- 任意後見監督人は、任意後見人が契約どおりに仕事をしているかを確認します。
契約で決めておけば、預貯金の管理や施設の契約などを任意後見人に任せることができます。お金の管理と手続き(R3)や、入院・入所の手続き(R4)を支える備えになります。
亡くなった後のことは、どう頼めばいい?(R6・R7)
死後事務委任契約を結んでおく方法があります。亡くなった後の手続きを、生前に誰かに頼んでおく契約です。
国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」では、死後事務として、たとえば次のようなものが挙げられています。
- 葬儀・火葬・埋葬、供養・法要などの葬送に関すること
- 年金・医療保険・税金などの行政機関への届出
- 住まいの賃貸借契約のこと
- 電気・ガス・水道などの公共料金の支払いや解約
- 携帯電話の解約
施設に入る場合は、居室の荷物の整理・退去(R7)も、誰に頼むかを決めておくと安心です。
財産を誰に渡すかは、死後事務委任契約とは別に、遺言で決めておくことができます。
身元保証会社は、どう選べばいい?(R2・R4・R6・R7)
身元保証会社(国のガイドラインでは「高齢者等終身サポート事業者」)は、緊急時の連絡と駆けつけや入院・入所の手伝い、亡くなった後の手続きなどを、まとめて引き受けるサービスです。
契約は長い期間にわたり、まとまったお金を預ける(預託金)こともあります。そこで国は2024年6月にガイドラインをまとめ、契約の前に説明すべき重要事項を示しました。
契約の前に、とくに次の点を書面で確認しましょう。
- サービスの内容と費用(入会金・預託金・その都度の費用の区別)
- 費用の支払い方法と、預託金から差し引かれる費用の内容
- 判断能力が低下したときの対応方針
- 解約の方法と、解約したときの返金の扱い
- 預託金の管理方法
- 寄附や遺贈についての方針
ガイドラインは、契約書を作り、利用者に渡すことが重要だとしています。くわしい選び方は身元保証会社の選び方で説明しています。
お金の見通しは、どう立てればいい?(R1)
施設がとくに気にするのは、毎月の利用料を払い続けられるかどうかです。
まず、次の3つをおおまかに書き出してみましょう。
- 毎月の収入(年金など)
- 預貯金などの資産
- 入りたい施設の月額費用
収入と費用の差額を、預貯金で何年まかなえるかがわかると、施設選びの幅が見えてきます。資金シミュレーションで、かんたんに確認できます。施設の費用の目安は老人ホームの費用にまとめています。
R1「利用料の支払い(連帯保証)」は、施設が導入している保証の仕組みで埋められることもあります。当社のエル保証は、施設と当社が保証の契約を結ぶ、利用料の保証です。導入している施設なら、R1を当社の保証で埋められる場合があります。保証には上限があり、お引き受けできない場合もあります。料金と条件は、ご相談のときにご案内します。
よくある質問
Q. おひとりさまは、何歳ごろから準備を始めればいいですか?
年齢より、「自分で判断し、契約できるうち」に始めることが大切です。任意後見や死後事務委任契約は、ご本人が内容を理解して結ぶ契約です。思い立ったときが始めどきです。
Q. 任意後見と身元保証会社は、どちらを選べばいいですか?
役割が違うので、両方を組み合わせる方法もあります。任意後見は判断が難しくなった後の財産管理や契約を、身元保証会社は緊急時の連絡と駆けつけや死後の手続きなどを主に担います。どの役割を埋めたいかで考えましょう。
Q. 身元保証人がいなくても、準備があれば施設に入れますか?
準備があると、保証人がいなくても相談を進めやすくなります。入居できるかは施設ごとの条件で決まるため、どの役割をどう埋めているかを施設に伝えて相談しましょう。
Q. どこに相談すればいいですか?
お住まいの地域の地域包括支援センターが、最初の相談先になります。施設探しは、エルすまいるの施設探しの依頼からもご相談いただけます。