生活保護で身元保証人がいない場合の老人ホーム入居|ケースワーカーとの進め方
公開日 2026年10月20日/更新日 2026年10月21日
結論
生活保護を受けていて身元保証人がいなくても、老人ホームへの入居は相談できます。 まず担当のケースワーカーに「施設に移りたい」と伝え、費用が保護の範囲に収まるかを一緒に確認します。そのうえで、施設が保証人に求める役割を一つずつ埋めていくと、話が進みやすくなります。
生活保護でも、老人ホームに入れるの?
入れる場合があります。
生活保護には、生活費(生活扶助)や家賃(住宅扶助)のほかに、介護サービスの費用を対象にした「介護扶助」があります。厚生労働省の説明では、介護扶助の費用は直接介護事業者へ支払われ、本人負担はありません。
また、厚生労働省は2018年8月30日の通知で、入所を希望する方に身元保証人がいないことは、介護保険施設がサービスの提供を断る「正当な理由」に当たらないと示しています。
ただし、どの施設でもよいわけではありません。家賃や食費などを含めた月々の費用が、保護の範囲に収まるかどうかが鍵になります。
どんな施設が選択肢になるの?
施設の種類ごとに、確認するポイントが違います。
| 施設の種類 | 費用の考え方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 介護保険施設。介護の費用は介護扶助の対象 | 要介護度などの入所の条件 |
| 介護老人保健施設(老健) | 介護保険施設。介護の費用は介護扶助の対象 | 自宅に戻ることを目指す施設であること |
| 有料老人ホーム・サ高住 | 家賃・食費・管理費が施設ごとに違う | 月額が保護の範囲に収まるか |
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、施設ごとの契約で費用と条件が決まります。生活保護の方の相談を受けている施設もあれば、そうでない施設もあります。
月々の費用が保護の範囲に収まるかどうかは、福祉事務所が判断します。入居を決める前に、施設の見積もり(料金表)をケースワーカーに見せて確認しましょう。
費用の目安は老人ホームの費用にまとめています。
ケースワーカーは、何をしてくれるの?
生活保護の担当者は、一般に「ケースワーカー」と呼ばれます。社会福祉法では、福祉事務所の「現業を行う所員」の仕事として、次のようなことが定められています。
- ご本人の家庭を訪問したり、面接したりする
- 資産や暮らしの状況を調べる
- 保護が必要かどうか、どんな保護が必要かを判断する
- 暮らしについて助言する
施設への入居を考えるときは、たとえば次のことを相談できます。
- 希望する施設の費用が、保護の範囲に収まるか
- 施設に移ったあとの保護の手続きはどうなるか
- 介護保険の申請や、要介護認定の手続き
- 引っ越しの費用や、今の住まいの片付けをどうするか
ケースワーカーに、身元保証人を頼めるの?
身元保証人を頼むことはできない、と考えて準備するのが現実的です。
社会福祉法に書かれたケースワーカーの仕事は、調査・判断・助言などです。施設の身元保証人を引き受けることは、この仕事として定められていません。
そのため、施設が保証人に求める役割は、別の方法で埋めることになります。
| 役割 | 生活保護の方の埋め方の例 | |
|---|---|---|
| R1 | 利用料の支払い(連帯保証) | 保護費からの支払いの見通しを示す |
| R2 | 緊急時の連絡と駆けつけ | 知人、身元保証会社 |
| R3 | お金の管理と手続き(判断能力が落ちたとき) | 社会福祉協議会の日常生活自立支援事業 |
| R4 | 入院・退院の手続きと付き添い | ケアマネ・MSWとの連携 |
| R5 | 医療やケアの方針 | 事前指示書、人生会議 |
| R6 | 身柄の引き取り・葬儀・納骨 | 葬祭扶助の仕組みを確認、施設・福祉事務所と事前に相談 |
| R7 | 荷物の整理・退去・各種の解約 | 荷物を少なくしておく、事前に相談 |
R6のうち葬儀については、生活保護法に「葬祭扶助」があります。生活保護を受けている方が亡くなり、葬儀を行う扶養義務者がいない場合などに、葬儀を行う人に対して、検案・遺体の運搬・火葬・納骨などの範囲で扶助を行うことができると定められています。
R3の日常生活自立支援事業について、厚生労働省は、生活保護を受けている世帯の利用料は無料としています。相談は、お住まいの市町村の社会福祉協議会で受け付けています。
施設に移ったら、担当の役所はどうなるの?
生活保護法では、原則として、お住まいの地域を担当する福祉事務所が保護を行うと定められています。
施設に移った場合にどこの福祉事務所が担当になるかは、施設の種類などで扱いが変わることがあります。入居の前に、今の担当ケースワーカーに確認しておきましょう。
介護保険には「住所地特例」という仕組みがあります。介護保険法では、介護保険施設・特定施設(有料老人ホームなど)・養護老人ホームに入って住所を移した場合、原則として、もとの市町村が引き続き介護保険を担当すると定められています(養護老人ホームは、措置で入所した場合に限ります)。
どんな順番で進めればいい?
進め方の目安は、次のとおりです。
- ケースワーカーに「施設に移りたい」と伝える
- 要介護認定を受けていなければ、申請する
- 地域包括支援センターやケアマネに、施設探しを相談する
- 候補の施設の料金表を、ケースワーカーに見せて確認する
- 施設に、保証人がいないことと、役割ごとの準備を伝える
- 見学・面談をして、契約の内容を確認する
入院中の方は、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)が、ケースワーカーや施設との調整を手伝ってくれることがあります。
エルすまいるでも、生活保護の方が相談できる施設探しをお手伝いしています。施設探しの依頼からご相談ください。大阪府内の施設はエリアから探すでも確認できます。
よくある質問
Q. 生活保護で身元保証人がいなくても、特養に申し込めますか?
申し込めます。厚生労働省は、身元保証人がいないことは介護保険施設が入所を断る正当な理由に当たらないと通知しています。入所の条件や順番は施設ごとに決まるため、ケースワーカーやケアマネと相談しながら申し込みましょう。
Q. ケースワーカーは身元保証人になってくれますか?
身元保証人になってもらう前提では考えないほうが現実的です。ケースワーカーの仕事は、法律上、調査・判断・助言などとされています。施設が求める役割は、身元保証会社や事前の取り決めなどで、別に埋めていきましょう。
Q. 生活保護で有料老人ホームに入れますか?
月々の費用が保護の範囲に収まれば、相談できる場合があります。範囲に収まるかは福祉事務所が判断するため、入居を決める前に料金表をケースワーカーに確認してもらいましょう。
Q. 生活保護の方が亡くなった後の葬儀はどうなりますか?
葬儀を行う扶養義務者がいない場合などは、葬儀を行う人に対して葬祭扶助が行われることがあります。対象になる費用は、生活保護法で定められた範囲に限られます。具体的な手続きは福祉事務所に確認してください。