保証人を頼まれたとき
兄弟で親の老人ホームの保証人をどう分ける?|遠方に住む子どもができる分担
更新日 2026年10月26日
連帯保証人を家族に頼めないときは1分チェック(無料・匿名)→
結論
親の老人ホームの「保証人」は、お金の役割と、緊急時の連絡などお金以外の役割に分けて考えると、兄弟で分担しやすくなります。 近くに住む人に全部を寄せるのではなく、遠方からでもできること(お金の窓口・書類・手続きの手伝いなど)を決めておくと、1人だけに負担が集まりにくくなります。
よくある相談
兄弟がいるご家族からは、次のような相談がよくあります。
- 「実家の近くに住んでいるからという理由で、保証人も駆けつけも全部自分になりそう」
- 「遠方に住んでいて、何を手伝えばいいのか分からない」
- 「連帯保証人のお金の責任を、誰が負うかで話がまとまらない」
どれも、施設の書類に「保証人」と一言で書かれていることから起きやすい悩みです。まずは、施設が保証人に何を求めているのかを分けてみましょう。
「保証人」の中身を分けてみる
施設が保証人に求める役割は、大きく7つあります(くわしくは施設が保証人に求める7つの役割)。国の調査でも、病院や施設が「保証人」「身元保証人」「身元引受人」「連帯保証人」など、いろいろな名前で同じような役割を求めている実態が整理されています。
役割ごとに、近くに住む人と遠方に住む人の得意なことは違います。分担の例を表にしました。
| 役割 | 近くに住む人が向いていること | 遠方に住む人でもできること |
|---|---|---|
| 利用料の支払い(連帯保証人) | — | 支払いの窓口、口座の管理の手伝い、費用の分担の取りまとめ |
| 緊急時の連絡と駆けつけ | 駆けつけ、急な入院の付き添い | 電話での連絡の受け手(2番目の連絡先)、施設との連絡のやりとり |
| 入院・退院の手続き | 病院での手続き、付き添い | 書類の準備、病院や施設との日程の調整 |
| 医療やケアの方針 | 面談への同席 | 親の希望の聞き取り、家族の意見のまとめ役 |
| お金の管理と手続き | 通帳や書類の受け渡し | 支払いの記録、役所の手続きの調べもの |
| 亡くなった後の引き取り・葬儀 | 当日の対応 | 葬儀社や手続きの段取り |
| 荷物の整理・退去 | 片付けの立ち会い | 業者の手配、解約の手続き |
すべての施設がこの分け方を受け入れるわけではありません。どこまで分けてよいかは、施設に相談して決めます。
連帯保証人は、誰か1人に寄せなくてもいい
連帯保証人は、親が利用料などを払えなかったときに、代わりに払う責任を負います。これから発生する利用料も含めて保証する「根保証」になるのが一般的です。
2020年4月1日に施行された民法の改正で、個人が根保証をするときは、保証する上限額(極度額)を書面で決めなければ、保証の契約は効力を生じないことになりました(民法465条の2)。契約書の極度額は、極度額チェックで確かめられます。
兄弟の誰かが連帯保証人になる場合も、次の点を先に話し合っておくと、あとでもめにくくなります。
- 連帯保証人になる人の家計に無理がないか
- 親の年金と預貯金で、何年払い続けられそうか(資金シミュレーション)
- 費用が足りなくなったとき、兄弟でどう分けるか
- 連帯保証人になった人が先に亡くなったり、病気になったりしたときにどうするか
4について、施設の資料には「速やかに新たな連帯保証人等を選定し、当ホームに通知します」と書かれていることがあります。連帯保証人を1人に決めても、その人に何かあれば、また誰かが引き受けることになります。
兄弟の誰も連帯保証人になれないときは、保証会社で代われる施設や、いない場合は相談に応じる施設を探す方法があります。
遠方に住む子どもができること
遠方に住んでいると「何もできない」と感じがちですが、手伝えることはたくさんあります。
- 施設探しの下調べ(施設の種類、費用、保証人の条件)
- 書類の準備と、役所の手続きの調べもの
- 支払いの窓口や、費用の分担の取りまとめ
- 2番目の緊急連絡先
- 親の希望の聞き取りと、兄弟への共有
近くに住む人は、駆けつけや付き添いなど「その場にいないとできないこと」に集中できるようになります。
話し合いの順番
- 入りたい施設の条件を確かめる:連帯保証人と身元引受人がそれぞれ必要か、いない場合は相談できるか
- 役割の表を作る:7つの役割チェックで、誰が何を担うかを書き出す
- お金の分担を決める:毎月の費用、足りないときの分け方を、メモでもよいので残しておく
- 施設に伝える:緊急時の連絡先の順番や、支払いの窓口を、契約の前に施設と確認する
決めたことを、書き残しておく
兄弟の分担は、口約束のままだと、時間がたつうちに「言った・言わない」になりがちです。正式な書類でなくてもかまわないので、次のことをメモにして、兄弟みんなで同じものを持っておくと安心です。
- 施設の書類に書く人(連帯保証人・身元引受人・緊急時の連絡先の順番)
- 毎月の費用のうち、親の年金と預貯金でまかなう分と、足りないときに誰がどう出すか
- 親の通帳や書類を、誰が預かるか
- 入院や急な呼び出しのとき、最初に動く人と、次に動く人
- 見直す時期(親の介護度が変わったとき、費用が変わったときなど)
施設から届く請求書や連絡を、誰が受け取るかも決めておきましょう。受け取った人が兄弟に共有する流れを作っておくと、遠方に住む人も状況を把握しやすくなります。
親の気持ちも、話し合いに入れる
分担の話し合いは、子どもどうしだけで進みがちです。親が自分で考えられるうちは、どの施設に入りたいか、誰に何を頼みたいか、頼みたくないことは何かを聞いておきましょう。
「子どもに迷惑をかけたくない」と考える親も少なくありません。親の側で準備できること(お金の見通し、保証会社の利用、身元保証会社や後見の検討など)は、子どもに迷惑をかけずに老人ホームに入るにはにまとめています。親と子の両方から準備を進めると、兄弟の負担も軽くなります。
施設の条件の実例
当社が根拠(自治体が公表している重要事項説明書・施設の回答)を確認できた1,428施設(大阪府433件・東京都995件。2026年10月26日時点)では、次のようになっていました。地域全体の割合ではなく、当社が確認できた施設の集計です。
- 連帯保証人:必要 861件、資料に記載なし 431件、保証会社で可 89件、いなくても相談可 47件
- 身元引受人:必要 934件、いなくても相談可 440件、資料に記載なし 45件、不要 9件
- 身元引受人が利用料の連帯保証も負う形(同じ1人が両方を担う):781件
半分以上の施設で、身元引受人と連帯保証人を同じ1人が担う形になっていました。この場合は、施設に「お金の役割だけ別にできるか」を確かめると、兄弟で分担しやすくなります。
エル保証でできること・できないこと
エル保証が引き受けるのは利用料の支払い(お金)だけです。連帯保証人の代わりに、エル保証を付けて入居の相談に進めるかを、当社が施設に確認します。
緊急時の連絡・入院・亡くなった後の手続きは対象外です。お金以外の役割は兄弟で分けるか、身元保証会社(国のガイドラインでは「高齢者等終身サポート事業者」)や制度を使う方法があります(身元保証会社の選び方)。入居の判断は施設が行います。
あわせて読みたい
よくある質問
Q. 遠方に住んでいても、親の施設の保証人になれますか?
施設ごとに条件が違います。連帯保証人(お金)は住んでいる場所を問わないこともありますが、身元引受人(緊急時の駆けつけなど)は、近くに住む人を求める施設もあります。役割を分けて、誰が何を担うかを施設に相談してみましょう。
Q. 兄弟の誰も連帯保証人になれないときは、どうすればいいですか?
連帯保証人の代わりに保証会社を使える施設や、いない場合は相談に応じる施設があります。エルすまいるでは、入りたい施設に、保証会社(エル保証)で代われるかを当社が無料で確認します。入居の判断は施設が行います。
Q. 兄弟で決めた分担は、施設に伝えたほうがいいですか?
伝えたほうが話が進みやすくなります。誰が緊急時の連絡先か、誰が支払いの窓口かを、施設の書類に書く前に整理しておくと安心です。
根拠をくわしく(運営会社のコラム)
法律・国の通知・統計の根拠と、専門職の方向けの実務は、運営会社(株式会社LAST SOLUTIONS)のコラムで解説しています。
出典
この記事を書いた人
羽田 圭佑(株式会社LAST SOLUTIONS 代表取締役)
損害保険会社で支払査定・引受審査に従事したのち、株式会社LAST SOLUTIONS を設立。介護施設の利用料の保証(エル保証)を運営。
最終更新日 2026年10月26日
エル保証が引き受けるのは利用料の支払い(お金)だけです。緊急時の連絡・入院・亡くなった後の手続きは対象外です。